Wednesday, February 23, 2011

斎藤兆史 『英語の味わい方』書評



これから英語のペーパーバックを読んでみたいと思っておられる方におすすめしたい一冊。高校で学習する英文法が一通り分かっていれば読みこなすことができる。 

僕は、高校を卒業してからはほとんど我流のやり方でだが、ほとんど毎日好きなものを好きなように英語で読むことで、少しずつ少しずつ、小説や報道記事を愉しんだり、その文体の機微を味わうことができるようになってきた。でも、今でも、特に文学作品を読もうとすると、難しすぎて根を上げてしまうことはよくある。(この間も、Philip Rothの作品を読んでいたが、難しすぎて中断したばかりだ)。もう少し文学を英語で愉しめるように英語を読む力をつけたいが、何かヒントはないかと、同じ著者の『英語の作法』(東京大学出版会 2000年)という英語文体論の専門書を手に取ってみたのだが、内容が高度すぎてたじろいだ。そこで、その入門ということで手にしたのが本書だ。 

易しすぎて読み飛ばすところも多々あったが、うぅぅん…と唸って考え込んだり、盲点をつかれることも多く、ずいぶんためになった。対象としているレベルの幅が広すぎるのが難点かもしれないが、面白い本ではある。本書が「英文学はなかなか深いんですよ、面白いでしょ」と、入り口から深みを覗かせる試みであったとしたら、十分に成功しているのではないだろうか。 

英文学を英語でもっと深く愉しむヒントは…やはりこれよりずっと専門的な『英語の作法』の方にありそうだ。



ちなみに、著者が別の著作『英語達人塾』で推薦している英文法書および英文学作品のリストを、ずっと前にアマゾンに作りました。


推薦文法書のリスト http://amzn.to/ek1ePv
推薦文学作品のリスト http://amzn.to/gUKJm7


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